今日もバイトだ。建築金物屋。
雨が降っているので休もうと思ったが、昨日は強風で遅刻したから、
今日休めば絶対に『ハメハメハ大王』の称号を授かる事は必至!
仕方なく店に向かおう…。
店の外で掃除してるとオレンジの軽トラがやってきた。
お得意様の大工の棟梁だ。
この人が私の相棒『ルクシオ』電動マルノコを譲ってくれた方なのだ!
もう70歳はとうに過ぎてるのに、なんでこんなに元気なんだろう?
体中から生気が溢れている。見た目、亀仙人にが眼鏡を外して、カツラをかぶった…ん?
ジャッキー・チュン!!まさにそれだ!
チュンはこちらに気付くと、軽トラの窓を開けてこちらを指差して、
“バキューン”と一発撃った後、ドアも開けずに窓から外に飛び出して片膝着いて着地する…。わ…若い!
『下地探しあるかね?』とチュンは言う。
有能なバイト戦士は即答する『あります!』
下地探しとは下地チェッカーともいって、室内の壁の中に下地になる木や鉄があるか探す道具だ。
ただ針の付いた棒なのだが、壁に刺して針が貫通すれば下地がない。
貫通しなければそこに下地がある。それだけの道具。
チュンは私の返事にウインクで返して、もう一度、私に“バキューン“して店の中に入ってく。
できる殺し屋は人を撃つ時は必ず2回引き金を引くというが、ジャッキー・チュンは実は桃白白だったか…?
コホン、まぁいい。
店に入ろうとすると、チュンが新品の下地チェッカーを手に出てくるところだった。
『おいやい』と呼び止められて、壊れてるが、まだ使えるぞ、と下地チェッカーを私に差し出してきた。
…壊れたものを私にくれる…だと?
…新品ではなく、壊れてもう必要ないものを私にくれる…ということか…?
チュンを睨みつけると、私は『あ』と声を出してしまった。
このジジイ…なんて純粋な目をしてるんだ…。
男の子がお母さんに『あげる!』とポケットから拳一杯のダンゴムシを見せる…あの時の目をしていた。
断れる理由はない、退路は絶たれた。
それ以上に、この下地チェッカー、ずっと大事にしようと、そう思った…。
もらうばかりでは悪い気さえして、缶コーヒーをお礼に渡した。
ウインクして70歳過ぎの少年が去っていく。

↑コレもらった。
下地チェッカー通称『トゲデマル』と名付けた。
キャップがヒビ割れてるところ以外は、普通に使えそうだ。新品買う必要あるのか?
黒い棒からは針が飛び出す仕様で、キャップは
磁石⁉︎
なんと、コーヒーと交換したこのポケモン、すでに「じしゃく」を持ってるのか…⁉︎
新しい仲間(道具)トゲデマルをくれたジャッキー・チュンに大感謝だな!
チュンの名前、知らんけど。
