布団でグルグル巻きにされた外道(三男)の上に私と次男は座りながら、コーヒーを飲む。
お客様の報酬金額を横領しようとした三男に制裁を加えたところだ。
さて、結婚式のプレゼントで子供の手作りと思わせるようなモノを作らなければいけない。
手元にあるのは色とりどりの紙コップ…。それと白いシール、どうしたものか…。


三男はすでに拘束されて布団の中。 あとは死神が来てノートに名前を書いてもらうのを待つだけ。
この材料でなにを作ろうとしてたのかは、もはや誰にも分からない。
そもそも紙コップはこんな色とりどりで良いのだろうか?
隣でコーヒーを飲んでいるこの弟も窃盗罪で法的に罰せられなければいけない。
次男が幼稚園から盗んできた紙コップを並べてみると、心が痛んだ。

そして、三男に買わされたシール…。メッセージでも書いてどこかに貼ろうか…。
結婚式ならオープンカーの後ろに紙コップを紐で縛ってカラカラやるのも良いかもな…。
引っ張っても音は鳴らないが…。
次男が優雅にコーヒータイムを楽しんでいる。
盗んできた紙コップにコーヒーを注いで、 「粋なコーヒーカップだな…。」と呟く。
おいおいおい!
カップを取り上げて、中身を次男の顔にかける!容器を拭いて口を付けた部分をカッターで切り落とす。

口を付けた容器をプレゼントに出せるか!
馬鹿者!切った紙コップにまだ使い道はあるのか?
コップを重ねると、当然ながら切ったコップはすっぽりともう一つのコップに入ってしまう…
おや?コレ、使えるんじゃね?
高さを小さくしたコップをコップの中に入れる。
それを繰り返していけば、ひとつのコップにおさまるんじゃね?
マトリョーシカみたいに!
紙コップを徐々に小さくなるようにカッターで切っていく。
シールには顔を描く。そして紙コップに貼っていく。



完成してみれば、三男が作りたかったものはコレなんじゃないか⁉︎とさえ思うほどにシックリくる。

マトリョーシカ…ロシアの民芸品で「子孫繁栄」「夢が叶う」「家内安全」という縁起物でもあるようだ。


並べてみると、結構いい感じだな。
コンパクトだから邪魔にならないし。
三男から彼女へ渡してもらうことにしよう。
結局、材料費200円だったので、依頼料の5000円も材料費以外は返すようにしました。
この後、弟たちは捕まり保釈金がいくらかかるのかは想像もつかない。
後から聞いた話になるが、新郎がロシア人だったという事。三男は知っていたんだろうか?
後日談、弟たちは逮捕されませんでした。
幼稚園には兄弟で謝罪に行きました。
