暑い…何故こんなに暑いのだ…
これはもう夏だな…
さっきから何か作業すると言ってずっと窓を開け何かしている兄弟がいるからか…
クーラーの冷気が逃げるじゃないか…
そんな33℃の温度計を見ながらアイスコーヒーを入れる午後。
そんなことはさておき…
ポケモンカードと言うものはとても素晴らしいコンテンツである。
60枚のデッキとダメージカウンターとコインをそっと鞄の中に入れておくだけでとても世界が広がるということ。
何故かって?
例えばポケモンカードにはジム戦というものがあり
ジム戦とは公式がこの時間からここの場所で対戦する所を用意するからデッキ持っておいでよー!
というものであり、あなたと同じように鞄にデッキ一式が入っている人が集まってきて、
各々の自分のデッキ最強!はたまたこのポケモンを使って勝ちたい!
色々な感情が入り混じって持ち寄ってバトルをすると言うある意味非日常のような場所である。
見知らぬ人との対戦。
対面で戦う緊張感。
勝った時の喜び!負けた時の悲しみ。
そして帰ってまたデッキを見直す。
時に戦友が出来たりする。
全てが最高なんだ!
鞄にデッキを入れよう!
さあ!ポケモンカード を始めよう!
よう。
よぅ…
…
と言っているのに何かを夢中になって作っている…
まるで子供のようだ…
いや分かっていたが…無視しないでよ…
悲しいよ…なぁ…
そんな時汗だくの長男が口を開いた!
「アイスコーヒーまだか?」
汗だくの三男は言う。
「ガムシロたっぷりな!ニヤッ!」
にやにやしやがって…俺はそっと汗だくの彼らに珈琲を置いた。
まだまだ布教には時間がかかりそうだな…
おれはおもむろに鞄の中にデッキを入れて集中している兄弟たちを尻目にジム戦に参戦しに行った。
先に結論から言わせてもらうと…
優勝しました!
この歳になって優勝って…ぶわぁ
いい響きだ!うむ!みんなありがとう!
優勝までの道のりを事細かく話そう!
締め切りギリギリでカウンターで受付を済まし時間まで待っててくださいと言われて、煮詰めて煮詰めて組んだデッキをキラキラした目で眺めていた…
そんな時
「ポケモンカードのジムバトルに出られる方〜」
その声に反応し20人くらい人がいる中で誰よりも早く誰よりもビシッと手を上げた!!
その20人くらいの人達は俺のことを見ている…そんな有名人だったのか俺は…と思った矢先!
「はい!本日一人でしたので優勝ですね!おめでとうございます」
そっと渡されたジムバトルの商品であるパックを3パック渡してきた!
他の人達は違うカードゲームの大会だったようだ…
「あっ…ありがとうございます」
その3パックを握りしめ颯爽と店を後にした…
その時の気持ちを言いたい…
「戦わしてくれ!俺に戦わせてくれ!何のために徹夜してデッキを作ったんだ…!」
この時俺の中の何かが問いかけてきた!
「力が欲しいか?力が欲しいなら・・・くれてやる!」
そんな声を聞いたような聞かなかったような、しかし…毎日でもポケカで戦いたい…
俺はいつからこんなバーサーカーみたいに戦いを求めるようになってしまったのだ…?
あの時サッカーゲームで長兄にボコボコにされた時か?
それとも赤い帽子をかぶったキャラクターのカートレースで末っ子にボコボコにされた時からか?
まあ良いとしよう。
10分くらいで帰ってきたらまだ汗だく兄弟は作業している。長兄が言った。
「アイスコーヒーおかわり!」
空のグラスを片付けながらそっとコーヒーを置いた。