[affi id=2]
バイトの金物屋。配達で現場に向かった。
外壁屋さんが家の外壁トタンを貼っている。
届け物を置いて、「よろしく」した時に職人に呼び止められた。
黒いタオルを頭に巻いた前歯がない職人、60歳過ぎだろうか?
前歯があれば本気モードの海賊狩りみたいだな…と思って「はい」と返事をする。
「ハサミの刃が欠けちまって、あんたんとこ板金バサミ置いてるか?」
もちろんと答えて、満面の営業スマイルで返す。
前歯なしのゾロが「後から買いに行くぜ」と言い、刃の欠けた板金バサミを私にくれた。
またこのパターンか…。
「マジスか⁉︎ありがとうございます!」とハサミを受け取り、いらん!どう処分しようか?と考えながら車に乗りこむ。

https://amzn.to/2DDn4CC
板金バサミなんて使わねーよ…。しかも刃こぼれアリ。
試しに助手席にあった段ボールを切ってみる…。
『なんじゃ?この切れ味は?』鉄板を切るハサミだけあって、面白いように切れる。
刃こぼれは全く感じられない。
コレは…『ポケモンゲットだぜ!』
名前をキングラーと名付けて私の仲間にすることに決めた!
ドリンクホルダーにある、コーヒーの空き缶を切ってみよう!

缶の飲み口の穴にハサミを突っ込んでザクリ。
ウホッ!切れる切れる!すごいな!なんか作りたいな!
チョキチョキ切って板状にしてみる。

折り紙の要領で紙飛行機でも作ってみる事にした。
コレって新しい感覚だなぁ。空き缶を使って何か作るなんて!
正方形に板を切り取って、アルミ板を折っていく。当然だけど切り口は鋭利になってるから手を切らないように注意する事!コレ一番大事!
切りながら、折りながら、完成まで時間を忘れる10分間だった。
作ってる最中、何度も声が頭に響き続ける…。
分かってる!分かっているけど…。と言い訳しながら完成を迎えた。


おおお、できた…。
完成した空き缶飛行機をマジマジと眺めること30秒…。満足感のあとに、やはりアイツはやってきた…。
ふぅ、コレどうしようかな?いらんわ。
車内にぶら下げていたコンビニ袋(ゴミ袋)の中に飛行機を投げ入れる。
車のエンジンをかける。
分かっていたんだ…こんなに夢中になって作っても、完成に満足しても、結局すぐ捨ててしまうことを…。
私の中の私は言い続けていた。
『作っても、どうせすぐに捨てるんだろ?』
分かっていたが、やめられない!
『ヒト科のオスってそういうモノだろ?』
帰り道の車中で、もう一人の私が味方してくれた。